残波 Zampa

「誰にも必要とされなかった俺が死んでも、誰も悲しまないさ」

STORY

「誰にも必要とされなかった俺が死んでも、誰も悲しまないさ」

沖縄最大の芸者町、辻。
その町で育ったヤクザの琉登(りゅうと)は母の形見であるジーファ - かんざし - を
きっかけに不思議なジュリ - 芸者 - の理知と出会う。

琉登はヤクザから足を洗い、多額の報酬を得ようと「ヤマト原子力発電所の放射能除染作業」に志願。
仲間のチンピラを引き連れ、ヤマト原発へ向かう。
彼らはもう二度と、元には戻れないことを知らずに。

除染作業中に大規模な余震が発生したのだ。
琉登たちは大量の放射能を浴び、被爆してしまう。

ヤマト - 沖縄県以外の日本国内 - の病院から抜け出し沖縄へ帰った琉登たち。
彼らの右手の甲には極秘に、被爆を表す焼印が押されていた。
琉登の身体は徐々に蝕まれ、やがて自らの死を自覚していく。

その一方で、ヤマト電力は沖縄へ「ヤマト電力事故調査委員会」を名乗る謎の男・アキラを送り込む。
アキラはある任務のために沖縄へ上陸し、暗躍しようと動き出す。

「死と引き換えに戦うならば、一人の女のために戦いなさい」

琉登の母の霊が宿るジーファを髪に挿す理知は、琉登を守ろうと決意し立ち上がる。
次々と仲間が殺され、琉登の母の死に秘められた嘘が明らかになっていく中で
琉登と理知は運命に抗う選択をする…

絶望の中でも勇気と希望を持つことの大切さや誰も見ようとしなかった沖縄の魂を
大胆に描いた、痛みあふれる傑作ダークファンタジーの誕生。

PRODUCTION NOTE

「ジュリ」と「ジーファー」という二つのキーワード。

「ジーファー」とは琉球の女性たちが髪を結ったときに差す、大和でいうところの「かんざし」のこと。
「ジュリ」というのは花街の芸者たちのことで、沖縄ではこう呼んだ。

今回映画「残波」の撮影で使われたジーファーは、かつて沖縄芝居で活躍された故・大宜見静子さんのものである。
沖縄のキャスティングで参加していた静子さんの娘である大宜見しょうこさんは、実家にあった母親の形見のジーファーがあったことを思い出した。

監督が映画の中の重要な小道具として使う、ジーファーを探していたところ、それならばと撮影の小道具として貸し出しを大宜見家から許可して持ち出してもらった。

山本彩花本人とジュリ時代の写真

偶然にも、翌日、ジーファーの取材で金細工の又吉さんの工房に訪れた時に、大宜見家に残された静子さんのそのジーファをお見せすると、又吉さんの手が止まった。そして「こんなに凄いジーファーはない。博物館行きのものだ」と仰ったのだ。銀のジーファーのことを沖縄の言葉で「ナンジャ・ジーファー」という。まさに私はナンジャ?どういうこと?という気持ちになりながらも、自分が一年かけて書き上げたシナリオの世界が何も間違っていなかったことを悟り、確認させていただけた至福の一日となった。

王朝時代、ジーファーは女たちの身分たちをも表した。一般庶民の女性たちは木で作ったジーファ、そして銀のジーファーは士族の女たちにしか許されなかった。また、その長さが長いほど身分の高さ、セジ(霊力)の高さをも表したという。

「残波」の撮影で使用された実物のジーファー

辻という花街で銀のジーファーを許された「那覇で一番の踊り手のジュリ」の物語。そんなストーリーの発想を得て、12回ものリライトを重ねてシナリオを完成させた。
その伝説のジュリが今回の主人公である琉登(美勇士)の母親(玉城節子)になるのである。今回のストーリーそのままの、今に残る最高のジーファーを小道具として映画は撮影された。

親が子供を思う心、子が親から継承する心を中心に据えて、魂の空洞化に見える現代日本の問題点をもあぶりだしたい。その思いで私は十年余り通い続けた、沖縄で映画を創ることに賭けてみた。

脚本・監督 出馬康成

「残波」の撮影で使用された実物のジーファー

CAST

STAFF

出馬康成

1963年7月21日、大阪市天王寺区生まれ。
19歳で東芝EMIよりバンドデヴューするかたわら映画を創り続け、21歳で処女作「占いワルツ」(東京イメージフォーラム公開)を完成させる。その後、本格的に映画界へ進出。弱冠28歳で大蔵映画で監督デビュー。
作品は興味本位な作りでないと評価され、成人映画としては初めて、公共団体主催の映画祭にクロージング招待上映され話題を集める。その後、劇場用映画を数多く手掛ける。

第七回日本映画エンジェル大賞受賞。
近年は書籍として向島の芸者をルポした「 芸者の粋と意地―向島 花柳界に舞う女たちの生き様(角川パブリッシャーズ)」で戦前からの芸者や置屋のおかあさんたちを丹念に記録した。
また2011年沖縄国際映画祭特別上映作品として初のドキュメンタリー映画「オバアは喜劇の女王~仲田幸子沖縄芝居に生きる」が一万人の観客動員を超えて現在も地方を巡回公開中。

TRAILER

映画「残波」劇場予告編

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予告:Destiny.ver

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